【インタビュー】企業のAIデータセンターに関する悩みとそのソリューション|オプテージ 布本泰朗氏 

近年、通信の処理や生成AIのための計算処理を行うデータセンターへの需要が、高まっている。もっとも、需要がありながらも電力消費や発熱量が大きいなどといった課題も存在するため、スムーズには開設が進んでいないのも実情だ。また、生成AIに関しては企業の利用も盛んだが、本格的に導入するとなるとGPUサーバーをどういった形で導入するかといった課題が浮かぶ。つまり、高額なGPUサーバーを購入するのか、それとも初期投資は少ないものの従量課金で費用が上がりがちなクラウドで代替するか、といった課題だ。

そのソリューションを提供しているのが、オプテージである。関西電力の100%子会社として関西一円に光ファイバーの敷設を進めており、長年、通信分野でサービスを提供してきた。その自社の強みを活用し、都市部、地方にデータセンターの建設を進める。

オプテージ ソリューション事業推進本部 データセンター企画チームの布本泰朗氏に、同社のデータセンターに関する取り組みを聞く。(聞き手:藤麻迪)


関西電力系のオプテージがなぜAIデータセンターをつくる?

オプテージは、関西電力が100%出資し、1988年に設立した企業です。比較的、知られているのが全国展開しているMVNO(格安SIM)の「mineo」サービスで、その他にも関西の戸建てや集合住宅の個人のお客様向けに、光ファイバーを活用したネット・電話・テレビ などを展開しています。

そして法人向けサービスは、インターネット接続等のサービスをこれまで提供しており、データセンター事業は今後、より力を入れていきたいと考えている分野で、COMNEXTでも大きくアピールしたいと考えています。

ここで、関西電力が有する「ネットワーク」について、お話したいと思います。親会社は電力会社として、関西の企業や個人のお客様に電気を供給する電線等の設備を保有しており、オプテージはその電線が敷設されている電柱等を利用し、自前で光ファイバーも敷設しています。

グループ一体となり、関西一円に電気と通信を提供可能な設備を保有しています 。光ファイバーの距離は、全長約36万kmにも及びます。地球約9周分です。こうした光ファイバーのネットワークを活用して、これまでも個人や法人のお客様に向けにインターネットサービスを中心に提供してきましたが、今回ご紹介する曽根崎データセンターやAIデータセンターは、これらの光ファイバーの強みを活かした事業となります。


オプテージの光ファイバー技術を活用した
「曽根崎データセンター(OC1)」

データセンターの中でも、現在、隆盛を極めている生成AIのためのAIデータセンターは、多くの方々が関心を寄せるところでしょう。

AIデータセンターについて触れる前に、もう一つのオプテージの重要なデータセンターを紹介できればと思います。

オプテージの「曽根崎データセンター(Osaka Connectivity1 略称:OC1)」が、2026年1月より運用開始予定です。OC1には、IX(インターネットエクスチェンジ。さまざまなインターネットトラフィックを相互接続するポイント)事業者やISP(インターネットサービスプロバイダ。ISP事業者はインターネットに接続するためのサービスを提供)事業者などの皆様に入居いただき、これら企業間で通信トラフィックを交換する場として提供するコネクティビティ(接続性)をコンセプトとしたデータセンターとなります。

「曽根崎データセンター」という名前の通り、大阪の都心部、曽根崎に所在しており、大阪駅・梅田駅は徒歩圏内、堂島エリアや心斎橋エリアも至近です。都心部にあることから、障害が発生した場合も駆けつけがしやすく、ネットワーク上のアクセスの観点からも高品質、低遅延の環境の提供が可能で、万が一の災害が発生した際にも耐えうる堅牢な最新のデータセンターです。

さらに、サーバーを格納するラックには、事前施工で光ファイバー回線を敷設しており、これらはオプテージがこれまで培ってきた光ファイバー運用の技術を活用したものです。そのため、今後も増大し続けるトラフィックを事業者同士が効率的に交換し、快適な通信環境を提供する場とします。 

また、再生可能エネルギーを実質100%利用といった、環境面にも配慮した最新のデータセンターです。

まだ構想段階で、決まっていることではないのですが、オプテージは今後も同様のデータセンターを拡大していきたいとの考えを持っています。データセンターの名前がOC「1」となっているように、OC2、OC3……にもつなげていきたいということです。


OC1とも接続する美浜町のAIデータセンター

そして、皆様が気になるであろう、AIデータセンターについて。

ChatGPTをはじめとした生成AIが普及していることは、多くの方がご存じでしょう。そして、生成AIが普及しているため、学習(トレーニング)用のGPU(画像処理装置。高い計算能力から、画像だけでなくAIの計算、サービス提供用の推論でも利用される)サーバーの設置ニーズが非常に高まっています。これが、AIデータセンターを開設する理由です。

しかし、学習用のGPUサーバーを設置するAIデータセンターには、2つの課題があります。1つは、電力消費が非常に大きい点。こちらは、聞いたことのある方も少なくないのではと思います。

もう1つは、冷却の課題です。サーバーが熱を持つと処理能力が落ちて故障に繋がってしまうため、専用の冷却能力が必要です。AIデータセンターは、非常に膨大な計算処理を行う際に発生する熱を冷やすため、液冷などの対策が必要になります。

こうした課題を解決するため、生成AI向けデータセンターを開設します。

このデータセンターはAIを学習(トレーニング)させるものなので、OC1のように都心部に設置する必要はなく、地方への設置で問題ありません。そこで、設置を決定したのが福井県の美浜町です。

美浜町は、前述の自社の光ファイバーも敷設するエリアです。推論用の設置に適したOC1とつなぐことで、データセンターと光ファイバーを全て自社設備でワンストップ提供が可能となります。


「大きな消費電力」「冷却」という問題はどう解決する?

これらが美浜町にAIデータセンターを開設する主な理由ですが、先程の2つの課題も解決可能です。

近年、AIの普及をはじめとして電力需要が急増しているため、特別高圧受電の施設をつくるのが難しい状況にあり時間も要すると言われていますが、この問題も、オプテージのAIデータセンターは解決できます。

まず特別高圧受電とは、契約電力が2MW以上の電気の供給を受けることです。特別高圧受電で供給されるためには、変電所との間に専用の送電線を引かなければなりません。

しかし、2MW未満の一般的な高圧受電であれば、既に敷設されている設備から電気の供給を受けられ、速やかに供給いただけることが多いことから、電源立地地域周辺の電力余力があり、送電網のコストを抑えたエリアかつ高圧受電の範囲内で稼働できるAIデータセンターを美浜町につくるということになりました。

今後、需要がさらに増えた際にも、高圧受電の範囲内でコンテナ型データセンターも増設可能なため、小回りの効くもので、特別高圧受電の供給のため手続きなどにかかる時間を削減できる他、建設期間も短縮するデータセンターです。

また、液冷での冷却設備が設けられており、AI向けデータセンターとして機能するものになっており、CO2フリーで環境にも配慮しています。


GPUサーバーの購入に躊躇する企業のためのソリューション

先程、GPUサーバーの設置ニーズが高まっているとお話しましたが、この点についてもう少し深堀りしたいと思います。

というのは、ニーズは高まりつつも企業としてはサーバーの導入に踏み切るのが困難な理由があるのです。それは、コスト面です。

NVIDIAの「H200」というGPUチップを8基搭載したサーバー自体、高価と言われており、同じくNVIDIAの「B200」のサーバーであればさらに価格は高価と言われていることから、 企業にとってなかなか投資に踏み切れないという現実があります。

オプテージのAIデータセンターは、ベアメタル(物理サーバー)提供するので、占有で利用が可能。初期に必要な投資費用を抑えて、月額料金でご利用いただけることから、お客様も利用しやすい形態で提供予定です。

一方、GPUを使える仕組みは、メガクラウドでもサービスの一つとして提供されています。しかし、クラウドで利用するリソースが増えていくと、そのまま使い続けるのがよいのか、自社が占有的に使えるサーバーを購入するのとどちらがよいのか、迷うケースが出てくるでしょう。それはクラウドでのGPUやAIの利用料は、従量課金が基本となっているからです。

しかし、オプテージのAI学習用GPUサーバーは台数単位で占有が可能であり、膨大するクラウド利用料も意識することなく、定額でご利用いただけることがメリットとなります。


COMNEXTではデータセンターと自社の認知向上を目指す

COMNEXT 次世代 通信技術&ソリューション展では、曽根崎のOC1、美浜町のAIデータセンターとともに、オプテージという会社名も訴求できればと思います。正直なところ、オプテージという社名はもちろん、オプテージがデータセンター事業に注力していくといった様がまだ皆様にご理解いただけていない状態と感じるからです。

「関西電力の100%子会社」「mineoのサービスを提供する会社」といえば、多くの方は理解してくださいます。しかし、オプテージが全国的に知られていくのは、これからです。特に、データセンター、AIデータセンターという現代社会でニーズの高い事業をしているのは、知っていただきやすいポイントだと思います。

そこでCOMNEXTでは、OC1とAIデータセンターの模型を展示する予定です。この模型は、ボタンを押すと発光し、曽根崎のOC1と美浜町のAIデータセンターがどのように連携するか、案内するものです。

また、クイズも用意してお客様にご回答いただき、正解者にはノベルティをプレゼントするなども行います。

先程もお話したように、GPUサーバー、データセンターに関する悩みを持つ企業の方々は少なくないと思います。オプテージは長年、通信事業を行っていることから、データセンターの運営にアドバンテージを持っている会社です。

COMNEXTでは、ぜひオプテージのブースにお越しください。

株式会社 オプテージの出展情報(2025年開催)はこちら >

COMNEXT(コムネクスト)とは


COMNEXT(コムネクスト)とは、光通信技術、高周波技術、ネットワーク設備・配線施工、ローカル5Gなどの次世代通信技術・ソリューションに特化した専門展示会です。最新技術の実機デモや製品が多数展示され、世界中から情報を求める来場者が集まる国際商談展です。

併催セミナーでは業界のキーマンによる講演を多数開催します。(2025年は55本の講演を実施)業界の最新動向や研究開発の現状、各社の取組み事例を紹介しています。

展示会名
COMNEXT 第4回[次世代]通信技術&ソリューション展

会期
2026年12月2日(水)~4日(金)

会場
東京ビッグサイト 西ホール

主催
RX Japan株式会社


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